黄金の第九

夢を見た。若者たちが劇場でオペラのようなものを催している。どうやら私は主催者か作曲者的な立場らしく、2階の客席からおもちゃのタクトを振るってみたりしていた。曲はどうやら第九らしく、もう第四楽章かな。どうやらというのはところどころ違うメロディーが含まれているからで、その違うメロディーがベートーヴェンを子供っぽく無邪気にしていた。いつの時代だここは。オペラのようとは言っても、どこか文化祭に近い雰囲気があり私の後ろの客席も劇場の廊下も賑やかな活気に満ちている。廊下に漏れ聞こえてくるベートーヴェンのような音楽を聴きながら、のんびりと歩いていく。すると、前をいく若者の中に小さな黄金の光が煌めいているのに気づいた。それをじっと見つめている内に目が覚めた。

現実の私はというと、のど鼻の不調と歯の不調を同時に味合わされ非常にやる気のない数日を送っていた。飯を食べるだけで激痛、寝るだけで痰にまみれて苦痛。こんなことならば母の付き添いで万博に行かなければよかった。そんな風にも考えたが、おそらく万博は何も関係なく単なる疲労の蓄積かと思われる。先月は特に忙しかった。貧弱な身体を呪いこそすれ、母は万博をコンプリート出来て楽しそうでよかったと思う。地味に私も生まれた後の万博はコンプリートしている。楽器を触るだけでも激痛が走る(左手と歯の神経が連動するためである)ため、積んでいた本を読んでいた。「君たちはどう生きるか」「人間の絆」である。「君たち〜」は何となく長く積んでいたが、もっと早く読むべきだったと感じた。非常に優れていて、わかりやすい文章。個人的に児童文学に伝えることの真髄を感じることが時々あるが、その類の本だった。その後に「人間の絆」に取り掛かったが、長い。長いというか多い。文字が。びっちり書くじゃん。そんな細かいことまでよく覚えてるなあというタイプのおじいちゃんの自伝話を文字起こししたように思え、歯の痛さと相まってなかなかの苦痛だった。まだ、上巻です。そんな中見たのがあの夢だった。目覚めた瞬間とても調子が良く、しばらくは痛みも忘れるほどだった。結局それ以降回復の兆しを見せ完治に向かってるっぽい感じになってきたのである。

菌どもがフルパワーの間は自宅に居て楽器も弾けないので、久しぶりにレコード棚を整理したりした。人にもよるとは思うが店をやっていると自分のコレクションなんかは大して枚数なかったりする。私は家族にこの棚までと決められているし、その棚の4分の1は家族のレシピ本が入っていたりするので整理といってもコンプリートしてるアーティストとか居るのかなあとかそんな感じの単なる振り返りである。意外にも何組か居た。でも二枚だけしか発表してないとかそんなの。それより面白かったのは、コレクションを占めているジャンルだった。案の定最も多かったのはロックだったが、その次に多かったのがサントラだった。個人的によく聞いた音楽にジャズやブルースが挙げられるが、それらは数枚しかなかった。意外だわ。じゃあロックとサントラの人なんじゃん。サントラにも共通点があり、フルオリジナルの物が少なかった。つまり映画作曲家がリアレンジしたものやコラージュしたもの、オリジナルそのままと映画用の小品が並ぶといったものがとても多かった。あと、細野さんのサントラに大好きなものが多いこともサントラ数に拍車をかけていた。人間意外と自分のことなんかわかっちゃいないのである。そういえば映画音楽に使うような楽器のソフト買ったわ。全く触っていないが。いつかやってやんぞ心はきっとあるのである。あらかわいい。

治りつつある現在、録音用にエレキギターやバンジョーの練習に取り掛かっている。他の自分パートは大体終わったというかぼちぼち飽きてきたのでもういいかという気持ちである。そんな感じ。ぼちぼち暑くなってくるね〜。夏にバンドでライブやるよ。ほな。