夜行バスとスカイツリー銭湯

東京に行ってきました。

コロナ禍からもうずっと行けてませんでしたが、それより前にちょくちょく歌いに行ってたので、思い出は結構あります。新宿のカプセルホテルやサウナ、先輩たちや友達と行った名店やチェーン店の味、たくさんの楽器屋やレコード屋、たくさんの人たち。

次のアルバムに入れる曲の中に、お茶の水のカラオケで作った曲があります。そのまま”東京”という曲で、とうに内容は決まっているのに、東京行ってないしなあとずっと放置したままでした。関係ないんだけどね。なんとなく。店のお客さんの中には東京から来てくれる人も居て、お気に入りのお店を教えていただいたくことも増えました。中には僕の店になんか似てるお店もあるらしい。それはいいことなのか一瞬考えたけれど、とてもいいことだと感じました。全く関係ないけど、ステージを初めて見たお客さんに、「〇〇っぽいですね、めっちゃよかったです!」のようなことを言われることがあります。多分プロの人でも経験あるんじゃないかというぐらいあるあるです。それはきっと、その有名な人と同じくらいすごいってことなんだなと好意的に解釈しています。そうでもしなければ、帰り道やホテルでその感想がずっとフィードバックしてしまい、全体的に何もかも嫌になる危険性があるからです。創造とは繊細なものですね。閑話休題。その他にも、小川くんの録音にとミュージシャンの方から紹介していただいたスタジオを見に行かなきゃなあ、などなどと”そのうち東京”ステッカーがずっと脳裏に貼り付いていました。そんな中、細野晴臣さんのポップアップストアがオープンするということで、じゃあもう行っちゃうかと思い立ちました。細野さんはいつも僕にきっかけを作ってくれる。

もちろん、長く夜行バスに乗ってません。気づけば新幹線ばかりのぐうたらになってしまった。過去、色んな方法で東京に行きましたが、結局バスが1番”東京に行ってる”感が強かったように思います。なので、夜行バスで行くことにしました。車内BGMは決めてあります。高田漣さんの「12notes」。すごく良いんです。当時もこればっかりで通ってました。

行くと決めたものの、そこそこに忙しい私は、バスの直前に制作アレンジセッションを詰め込むなどの暴挙に出ました。おわかりいただけたでしょう。案の上、私の愛足は軽快に東京へと向かう夜行バスホテルの中で、パンパンにむくみました。足取れちゃうよ。目が覚めたらサンシャイン水族館の前に居ました。

ほう、ここがそうか。開館前のサンシャイン水族館と空飛ぶペンギンのポスターを尻目に、私は早速ポップアップストアへ足を運ばせました。店員さんがオリジナルで作成された古着やグッズを買い、細野さん行きつけと本で読んだ洋食ハチローさんへ赴きました。実はポップアップストアへ向かう道中で先に見かけていたのですが、あまりに好みな佇まいに、あまり見ないようにしていたんですね。そしてやはりその予感の通り、最高のお店でした。

敢えて写真を載せよう。意外とフレンドリーなところのある僕は、常連のお爺さんと仲良く喋りながら順番を待ちました。平日に並ぶのは珍しいらしいです。確かに行列嫌いの小川が並ぶのも珍しい。そんなことはつゆほども考えていないであろうお爺さんとの会話は、瞬く間に私を東京好きに、行列もわるくないな人間にしました。ここに到着する前の山手線でのちょっとアレな経験も、全て記憶から消えていったように思います。お店では畳の二階席に案内していただいたが、極上でありました。むくみきった私の足も大変喜んでいたことが記憶に新しい。お料理も大変うまい。正直、毎日ここでオッケーである。腰の曲がり切ったお爺さんが調理されていたが、長く続いて欲しい。心からそう思いました。

調子づいた私は、お爺さんに教えていただいた和菓子を手土産に、本日の風呂がある浅草へと向かうことにしました。風呂は事前に決めていました。映画「パーフェクトデイズ」で役所広司さんが通っている銭湯です。

それは、直近で私が見た東京の街並みだったと思います。映画中でずっと映る訳でもありませんが、なぜかとても印象深い。お客さんに紹介されていたレコード店も浅草方面だったので、ちょうど良いと行くことにしました。銭湯「電気湯」さんは既に地元のお父さんたちでいっぱいで、とても愛されていることがわかりました。見たことない(映画では見てる)構造のシャワーで身体を洗い、湯船に浸かる。あったかい。生き返るようだ。実際、生き返りました。最初は、実家で父親が入っていたくらい熱めの湯船に感じましたが、どうやら夜行バスホテルのおかげでだいぶ冷えていたようです。番頭さんもとても気さくないい方で、お客さんみんなが知り合いのようでした。コーヒー牛乳を飲み、備えてあった藤本タツキ「ルックバック」を読んで涼みました。電気湯のステッカーや、いただいた思い出の品は自分の店に貼ってます。ぷらぷらと歩きながら団子を食べ、煎餅を食べました。そびえ立つスカイツリーが変に場違いで、万博の太陽の塔のような不思議な感覚を覚えました。東京でも歩いたことのない地域なので、本当いろんな街があるなあと面白かったです。

そのあとテナントを見学したり(移転の予定はないけど)、楽器屋を覗いたりいろいろと過ごしていたら、帰りの夜行バスホテルの時間になりました。もちろん、帰りの道も私の愛足はパンパンだったことは言うまでもありません。

関西に帰ってきてからの数日間、僕は新しいリリースに向けた録音に明け暮れてます。作らなきゃとずっと思っていた作品です。この前のブログに書いた新しいアルバムとは違うものです。ずっとやらなきゃと思っていることがいくつかあります。ここ最近はきっと、それらをやるタイミングなんだなって感じたから。今録音しているものは年内リリースすることに決めました。出来が悪かろうがリリースすると思います。もう2ヶ月しかないけど、間に合うかな。新しいアルバムは来年の夏以降発表だと思います。夏間に合わないかなどうかな。

ではでは。